ヒプステ、迷うくらいなら行け

 ヒプステ、2019年11月17日(日)の夜公演に行ってきた。結論から言えば、めっちゃよかった............................
私が今忙しくなければ金を錬成して通ったものを。嗚呼。
 公演が始まった当初は千秋楽でさえリセールチケットが余っていたというのに、今日11月26日(火)時点ではもう平日公演さえ取るのが難しくなってきた。なんとか1枚もぎ取って明後日11月28日(木)に行ってくるけども。
話題が話題を呼んでいるのかなあ。嬉しさあり、チケ取りづらくなって悔しさあり。人間無い物ねだり。

 

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ヒプステ観劇に至るまでの状況と私の心境ログをここに記す。

 

 

 

1. 情報初出


 さて、ヒプステというのは、ヒプノシスマイクというコンテンツの2.5次元舞台化作品、の略称である。
 

hypnosismic-stage.com


なお、ここでいう2.5次元というのはもちろん平面と立体の間とかいう話ではなくて、漫画、アニメ、ゲームなどの二次元的作品がメディアミックスされて三次元の人間(役者)によって再生産されたもののことで、主に舞台作品を指す。テニミュ(ミュージカルテニスの王子様の略称)がそのブーム・商法の先駆である。と思う。起源は宝塚になるんだろうか?
 近年、作品コンテンツの2.5次元化はとても多い。シンプルに、めちゃくちゃ儲かるのだ。それはもう。そんな時代の流れにヒプノシスマイクも乗った、のだろう。
 ヒプノシスマイク公式Twitterで、舞台化が告知されたとき、否定肯定含め大混乱でTwitterも非常に混沌としていた。
舞台化(映画化もそうかな)が発表されて『原作』ファンが怒ったり懸念を感じたり、プチ炎上…というのは、この作品に限った話ではないが、
ま、よくある話っちゃよくある話だ。

 それでも特にファンの「「「エーーーーー!?」」」感を強めたのは、ヒプノシスマイクコンテンツにおいて、声優がとても大きな柱であり、むしろ根幹であるからだと思う。声優がキャラクターそれぞれのいろんなアーティストさんの楽曲を歌う。舞台化というのはそれを揺るがす事態なのだ。キャスト、声優じゃないもんな。
そして原作の時点で、脚本がガバガバなのである。ドラマ CDでなんとか形を保っているだけで、突き詰めるほど悪い意味で謎が深まる。コミカライズはそれを明らかにした。
(もう一つ!チケットのお値段1万8000円で atステラボール もである。前述したテニミュは老舗だからなのか?6000円代をキープし続け以上に安いが、チケットのだいたいの相場としては1万円前後じゃないだろうか。なおここでは私は刀系やエーステを思い浮かべている。18000!? いくらあれこれグッズがついてるからって、た、高すぎる!リピートできない!
とはいえ、値段に関してはいろんな人が考察していらっしゃってるので省略。個人的に、顔写真登録要求したり、身分証明を徹底したりしている姿勢はすごく印象が良かった。リセールシステム手数料は正直痛いけど、コストかかるし、しょうがないよね。転売撲滅せよ!)

 この時期の私はというと、静観を決め込んでいた。
というのは、ネルケプランニングであること、植木さんが関わっているということでそう悪くはないだろうな、とは思ったものの、
上記にあるように声優要素が消えてしまって寂しいなーという思いがあったのと、巷の流行りコンテンツの安易な2.5次元化には否定的気持ちを持っているからである。

 私は挑戦する作品が好きだ。
許斐剛を見習えとまで言わずとも、未知の領域に積極的に切り込んでいく姿勢が好きだ。(男性声優ラッププロジェクトなんて、未知すぎる)
だから安易に舞台タイトルにして商業的に消費するだけの楽しみ方はごめんなのだ...
 だもんで、ひとまずどういう舞台化なんだろうかっていうのがわかるまで待つことにした。もちろん思い立った時に行けるようにメルマガ登録など諸々整えた。


 それから、時期はこの時より少し後になるが、ダンス要素がある、というのも燃えた。ラップじゃないんですか!?!?的な反応がままあった。これに関してはダンス!?wwwwというある意味面白がる気持ちはあったが、そもそも舞台なのでダンスするしないについて、そんなに特殊な感じがしなかったし、私はあんまり気にしていなかった。コミカライズで色々と経験してきたファン達はセンシティブな状態だったんだろうと思う。結論から言うと、心配しなくて大丈夫だった。めちゃくちゃラップする。ミュージカルならぬラッピュージカル状態である。

 

2. 動画が公開

 11月1日、ヒプステ公式Twitterにてスポット動画が公開される。

 

これで気になったという人、結構多いんじゃないだろうか。ちなみに私はこれで完全に行く決意が固まった。
私は今まで二次元オタクやっていてヒップホップに親しんできていない側だったので、""音楽がノれる""のは重要な要素だった。中毒になる感じ。それは今まで聞いてきた楽曲も同様。

 

3. 初日開幕

 11/15(金)初日開幕で、行った方々の情報も含め、一気に全貌が浮かび上がってきた。(私も予定が入らなければ初日に行ったのに)
 まず評判は上々。18000円は最初のオープニングで元が取れるなどのめちゃ高評価も聞かれた。それからアカバネがいいと。これは意外だった。当て馬役で出てくるディビジョンで原作には登場しないキャラクター達なので、正直そんなに気にしていなかったのである。
 それから懸念していたステラボールの座席は、チケに印字あるいは表示されたアルファベットの情報を集めて座席予想をしていた方の読み通りとなり、中ほどから段差ありであったと判明。やった〜!
 掘ればもっと詳しい情報が出てきたけれど、観劇をすぐ後に控えていたのでこれ以外の事前情報は入れずに臨んだ。

 

4. 観劇

 グッズ購入整理券を手に入れ、リングライトを各1個購入し、中へ。まずチケット提示とともに以下のオーティエンスキットなるものを受け取る。


01.Rule the Stage -track.1-オリジナルCD
Rule the Stageオリジナル楽曲(3曲+各曲インスト収録、計6曲)収録予定!
02.Audience Bag ver track.1
Rule the Stageオリジナルデザインのバッグはとても便利なBIGサイズ!ビニール素材で使い勝手も抜群!
03.Audience pass付きチケットケース ver track.1 ※限定シリアルナンバー付き
限定シリアルナンバーが入ったパスはここでしか手に入らない限定仕様!チケットケースはマネーやカードも入れられてちょっとしたお出かけにも!
04.Big Audience Tシャツ ver track.1
人気のBIG TシャツもRule the Stageオリジナルデザイン!オーバーサイズで着心地GOOD!
05.ヒプマイホーン ver track.1
ホーンを鳴らしてステージを盛り上げろ!

公式サイトより引用

いや、盛りすぎ!高いって言ってごめんなさい!高いけど!
文字面で事前に見ていたけど、実際手に渡されるとずしっと重みを感じる。
(ここで渡されるCDのなんとありがたいことか、この時は知る由もない。)

公演は2部構成で、全2時間10分のうち、
 1部本編
 2部LIVE となっている。
もしライト買い忘れちゃった人は、1部本編では使わないので安心して休憩時間で買ってしまおう。
終演後はグッズが買えないので(DVDの予約はできる)、その点は注意されたし。

以下詳しいネタバレはなるべく避けたが、本編ストーリーに軽く触れている気もするため注意。

 

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 まず原作へのリスペクトと愛、半端じゃない熱量を感じる。本当にエネルギーの塊を投げられてしまったのだと思う。すごく研究されたのだろう。と思うとジンときた。ありがとう。
既に何人もの人が言っていることだと思うが、その思いが伝わってくるからこそ、口コミで広がって高評価につながっているのではないだろうか。
見終わってからアンケートに思いの丈をぶつけた。ネルケプランニングはアンケート見てくれてるのでちゃんと買いた方がいい。

 出だしから圧倒的迫力の映像美術、音、ラップ、ダンス。
歌詞が映し出されるのも原作PV風であり、且つ歌詞がわかるのでとても嬉しい。初見の人でもなんて言ってるかわかるし、壁面積が広いステラボールの特徴をとてもよく活かしており効果的な演出につながったと思う。逆に素晴らしすぎて目が足りない状態になってしまうのだ。舞台上の役者と壁や画面に映し出る映像...見た人にはわかってもらえるはず。
 加えてバックダンサーの動きも見応えが大有りなので本当にドキドキした。便宜上バックダンサーと言っているが、バックダンサーするだけの役割ではなく、舞台美術の一部でもあるし、小道具的役割も果たしている。
登場する人物達はとにかくラップしている。ミュージカルはすぐ歌うが、ここではすぐラップする。オペラで歌的な抑揚をつけながらセリフを言うのがあるが、あれに近いと思った。
 映像美術、ヒプノシススピーカーについてよくよく検討を重ねたんだろうなあと思った。キャラクターの心臓音に合わせて動いているようで、スピーカー自身もまた所有者自身なんじゃないかと感じた。まさにスタンド。
 それから、曲。どうしたら誰風なのかを合わせている。役者が声や歌いかたを精一杯近づけてくれているだけでなく、曲調や使用する音の雰囲気をも寄せている。三郎のパートなんか特に顕著だろう。アカバネはラップがうますぎて、典型的雑魚キャラセリフを話しているのに強いと錯覚してしまう。
 ライブがあるのも本当に嬉しかった。ヒプマイの原動力の一つは間違いなく一郎役の木村さんのみんなにヒップホップを楽しんでもらいたい!というスピリッツだ。「みんなで手を上げて一緒に楽しもうぜ」の精神を受け継いでくれているのがライブでひしひし感じた。いうなれば映画の普通上映の後に盛り上がる場として応援上映が用意されておりセットになっているような感覚だろうか。この辺はもうあなたが言って感じるしかない。
 それから、脚本についても言いたいとことがあるのだが、盛大にネタバレになってしまうので他で言及する。ガバガバ脚本のいいところに目をつけているのだ。そして物議を醸した『カマくせえこと言ってんじゃねえ』発言が『だせえこと言ってんじゃねえ』に変更されていたのだ!!!!この手の表現について抗議をすれど報われたことがなかった。一生ついていく。

 CDを鬼リピしながら追いチケを狙う日々、またも動画が公開された。
かっこいい。

 


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5. 感想

 ヒプノシスマイクは、原作に視覚的要素が少ない。しばらく白黒の立ち絵だけだった時期もあり、そこからしばらくは立ち絵2種類しかなかったのだ。今でこそ多少、カラー絵が増えたが、舞台案を作っている時にこれほどあったとは考え難い。アニメや漫画と違って、音楽や声主体の作品の為の難関である。舞台化に際して、なかなか大変だったと思う。しかも賛否含め話題になっただけに、プレッシャーもあったかもしれない。そんな中で良いものを作っていることは、間違いなくファンの間で広がり伝えられている。チケットのリセールはほとんどさばかれつつある。行ってみようかな、ライビュ買った、なんて人もTLにいるだけで結構な数を見かけた。嬉しくなった。

 類を見ない新境地!に挑んだ出演者、制作者、あらゆる関係者皆様に敬意を表します。全ての人が怪我や事故なく、千秋楽まで駆け抜けられますように。